豆知識 日本刀、時代の特徴

投稿者: | 2019年5月14日


日本刀は時代ごとに適応した姿で変化してきました。日本刀の各時代の特徴をご紹介します。

上古刀の時代

奈良時代以前の上古刀(じょうことう)の時代の特徴は反りのない直刀(ちょくとう)で、平造(ひらづくり)と切刃造(きりはづくり)がほとんどです。
大陸より日本に伝わった大陸様式の直刀です。
一般的には10世紀後半の平将門と藤原氏の乱以前のもとは上古刀と呼ばれています。

古刀の時代

平安時代後期から鎌倉時代初期にかけて古刀の時代と呼ばれています。
平安時代後期から反りのある鎬造のものが現れました。反りは腰反りが強くなります。腰反りとは区元が少し末広がりになることが強くつき、茎から腰元のあたりで強く反ることいいます。

鎌倉時代中期には武士全盛の時代に合わせた頑健は太刀姿になります。武士全盛のこの時代の刀は重ねが厚く、平肉も豊かで身幅も広くなっています。

鎌倉時代後期には、前時代に比べ平肉はやや薄くなり、踏ん張りが目立たなくなります。またやや細身です。

南北時代には身幅が広く・大鋒で、刃長も三尺(90.9㎝)の長大な太刀が作られました。短刀も大振りなものとなってきています。また中には背負い太刀の野太刀(のだち)と呼ばれる物々しいものもありました。どれも重さを軽減するために薄く造りこんでいます。また刀身に沿ってみぞを彫ったものが多くなっています。

室町時代前期には鎌倉時代にならった形式だが、先反りが加わるものになります。前時代の大鋒で長大なものは姿を消していきました。身幅はやや狭く、踏ん張りがあって反りが高く、中鋒となります。刀身の厚さが厚く、先反りがつくのが特徴になってきます。

室町時代後期には戦闘様式が徒歩の集団戦に移り、打刀が多くなってきます。刃を上にして腰帯に差す打刀が多くなります。
室町幕府官領家の畠山氏、斯波氏(しばし)の家督争いから始まった応仁・文明の乱以降、各地に戦乱が起こりました。そのため刀も量産品が出回りました。先反りが強いことが特徴です。永正天文の頃は片手で扱えるように刀長をやや短めにした刀が作られました。また永禄天正以降は両手で扱えるようになる刀になっていきました。

※畠山氏(はたけやまし/はたけやまうじ)・・武蔵国を本貫地とする武家。斯波氏・・室町幕府足利氏の有力一門。日本の武家。

新刀の時代

慶長(1596年~1614年)時代以前物を古刀と呼びます。以後のものと新刀と呼びみなす。安土桃山時代になると外国製の南蛮鉄も使用されるようになっていきました。
刀の姿は南北朝時代の太刀を大磨上にした体配(姿)によく似ます。広い身幅で、元幅と先幅に開きがすくなく、中鋒が延びるものや大鋒もあります。

江戸時代前期には反りが目立って浅く、元幅に比べ先身はなが狭く、鋒も小さく、中鋒が詰ま気味の形状になります。刃長は2尺3寸(69.7㎝)前後のものが多くなってきます。この独特な形を寛文新刀と呼ばれました。

江戸時代中期は平和な時代が続き、刀工が減少した時期です。また寛文新刀より新々刀へ移行する過渡期のもで、寛文新刀より鋒が延び反りがやや深くなっていきます。

新々刀の時代

明和以後のものを新々刀と呼んでいます。この時期は、鎌倉時代や南北朝時代の太刀姿を再現した造込が多く作られました。ともに重ねは厚く平肉がつかないのが特徴です。

現代刀の時代

明治9年の廃刀令から現在までの日本刀を現代刀と呼んでいます。廃刀令がでると刀工は仕事を失いましたが、明治39年に月山貞一、宮本包則が帝室技芸員に任命され、鍛刀の技術は保護されました。現代刀では古刀、新刀を問わずあらゆる時代のものを理想をしています。特に鎌倉時代の太刀に範をとったものが多くみられるようです。

お知らせ

岡山県の刀剣の買取はあかり古美術にご連絡ください。お問合せ先0120-29-1188。


スポンサーリンク